心模様空模様

×1× 「じゃぁ、行ってくる・・・・。」 気まずそうに言葉を濁した渋沢 「あぁ。ゆっくりしてこいよ。久しぶりの里帰りだろ。」 安心させるように笑顔で言う。 「・・・・。」 「なんだよ?俺のことなら心配すんなって。」 「・・・・じゃぁ、な。」 信用しきれていないのか、 まだ俺を疑いの眼差しで見てくる。 「じゃーな。」 手を振り渋沢を送り出す。 「さて、何すっかな ―― ・・・・。」 お盆休み。 寮の奴らは家に帰り、今はとても静かだ。 俺には、帰る場所なんてない。 家も家族も失った。 実際には、ちゃんと家も、家族もいる。 だけど、昔のようには戻れない。 温かかった、あの頃の家庭には・・・・・・ 「あっ、三上センパイッ!!」 いいものでも見つけたように言う、 明るい声のウチのバカ犬。 「藤代・・・・・なんだよ、その荷物・・・・。」 両手には紙袋3つづつ。 (しかも破れそう。) 背中には大きなふろしき。 「何もって帰ろうか悩んで、 結局全部持って帰ることにしたんっすよ♪」 「アホか!! 里帰りにこんな大荷物持ってくバカがどこにいんだよ!!」 「まーいいじゃないっすか。玄関まで持ってくださいよー。」 「しょーがねぇな。・・・・重っ。何入ってんだよコレ!」 「えっと〜ゲーム類っす、確か。イトコに貸してやるんです★」 「はぁ??」 ・・・・・・・。 「ホラ、ついたぞ。」 自動じゃないドアを開けてやり、 はやくでてけと藤代に接する。 「ありがとーございますっ。じゃぁ、三上センパイ!」 「気をつけろよ。」 「わーってますよ!!」 ・・・・あ。 「って!!!」 電信柱にぶつかってやがる・・・・ 「何でこんなトコにあるんだよ!!!いってーー。」 ・・・もーしらねぇ。 見てないフリして引き返す。 「はぁ。また戻ってきちまったじゃねーか。」 ・・・・? そういや、笠井見てねぇな・・・・・。 「はっ。俺も渋沢のコトいえねーな。(苦笑」 意外に心配性な自分の性格が たった今見つけ、渋沢には気付かせないように 気をつけようと思う俺だった。 コンコン―― 「笠井ー・・・・?」 「、三上先パイ。」 ドアを開けビックリしたようすの笠井。 「お前 いつ行くんだ?」 「今年は帰らないんですよ。」 「は?何でだよ。」 「親に、帰ってこなくていいって言われたもんで・・・。」 「へぇ・・・・。大変だな。」 「残ってるのって、俺と先輩だけらしいっすね。」 「そーだな。ま、風呂も好きな時間に入れっし。 ・・・・いいんじゃねぇ?」 「そうですねっ。」 「笠井、どっか行くか?ココに居たって、暇だろ?」 「はいっ、行きます!!」 嬉しそうに答える笠井。 そういや、コイツと2人で出かけるって 初めてだな。 いつもはバカ代がいたしな。 「あ、お前メシ食った?」 「まだです。もー腹へって・・・・。」 「じゃぁ、○ックでも食べに行くか。 俺も腹減ってんだよ。」 こうして、俺と笠井は寮をでた。 最短で帰ってくるやつはだいたい3日後。 それまでは、2人だけの生活。 モドル

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