心模様空模様

×4× 「笠井。腰、大丈夫かよ。」 「へーきです。なんとか歩けますから。」 平気なはずない。 表情は苦痛に歪んで、額には汗をうっすらとかいている。 寮についた。 俺がおぶってやるといっても 「いいです。」 と断るばかりの笠井は、 もう立っているのも辛そうだ。 重々しい空気が2人の間を流れる。 笠井をロビーのソファーに座らせ 自販機で買ったミルクティーを手渡す。 「あ。ありがとうございます・・・・。」 黙って俺も笠井の隣に座る。 「・・・・急に、悪かった・・・・・。」 「どうしたんですか?先パイらしくない。」 「俺らしい・・・・? 俺らしいってなんだよっ!? どんなのが俺らしいんだよ!!!」 ビックリする笠井。 俺はすぐに我に返り、謝る。 「ワリィ。そーだな、俺らしくねぇ。」 「センパイ・・・・。」 飲み終わった空き缶を握りつぶす。 「少し寝るわ。 お前もしっかり休めろよ、体。」 立ち上がり、空き缶をゴミ箱にすてる。 「先パイ!!俺は、平気ですっ。 先輩に抱かれて嬉しかったっ。 だから、そんなに・・・・・ そんなに悲しそうな顔しないでください・・・・・」 「悲しそう?俺がか?何に悲しむってんだよ。 別に何もっ・・・・・・」 笠井が後ろから抱きつく。 一瞬、身動きが出来なかった。 「一人で、苦しまなくても、悩まなくても、いんですよ。」 温かい。なつかしい温もり・・・・・―――――― 腰に巻きついた手をはがし、 一歩すすむ。 「あいにく、俺は自分しか信じねぇ。」 見えない線を引いた俺は、そこを立ち去った。 モドル

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